日韓演劇交流センター
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韓国現代演劇ドラマリーディングV

韓国現代戯曲ドラマリーディングVol.5

2011年2月25日(金)〜27日(日)
会場=シアタートラム(世田谷区太子堂4-1-1)

2011年2月25日(金)19時〜
張誠希(チャン・ソンヒ)作『道の上の家族』
翻訳:石川樹里 演出:智春

2011年2月26日(土)14時〜
金泰雄(キム・テウン)作『爾ー王の男』
翻訳:木村典子 演出:青井陽治
※チケット完売

2011年2月26日(土)17時30分〜
シンポジウム『日韓演劇交流の歴史』
キム・ジョンオク氏、杉本了三氏

2011年2月27日(日)14時〜
ノ・ギョンシク作『月の家』
翻訳:宋美幸 演出:矢内文章

照明:大鷲良一 効果:大場神 舞台監督:漆戸英司 制作:高橋俊也

助成:日韓文化交流基金


◆入場料(全席自由)
 1,500円(シンポジウム含)
 シンポジウムのみ500円
 通し券3,000円(センター事務局のみ)

◆お問い合わせ
日韓演劇交流センター
〒177-0051 東京都練馬区関町北4-35-17 東京演劇アンサンブル内
TEL:03-3920-5232 FAX:03-3920-4433 
MAIL akira◎tee.co.jp(◎を@に変えてください)


道の上の家族』 

作=チャン・ソンヒ
翻訳=石川樹里
演出=智春

■出演

林英樹(テラ・アーツ・ファクトリー)
尾崎太郎(東京演劇アンサンブル)
金村瞳(オールスタッフ)
宮川和巳(オールスタッフ)
伏見嘉将(ぱるエンタープライズ)
中川真希
千田美智子(文学座)
堀口和也
酒井美紗代
智春

■あらすじ

舞台は晩秋のキャンプ場。妙に大きな荷物を抱えて一組の家族がやってくる。
一家は父母、老父母、少年の五人。痴呆症の老母、反抗的な少年…。
それなりに問題は抱えているようだが、何年ぶりかの家族旅行で幸福そうに振舞う一家。
だが幼い次男の不在が、不安の影のように家族に付きまとう。
劇が進行するにつれ、父親の失職と生活苦、一家の足手まといになっている老父母の存在が浮かび上がってくる。
一家の肩の荷を減らそうと、老妻とともに心中を計ろうとするが、そのタイミングさえ逃してしまう老父。
リフトから飛び降りるが、安全ネットにひっかかり、キャンプ場の管理人に連れ戻される少年。
裕福な家庭に養子にやったと家族を偽り、実は幼い次男を地下鉄の駅に置き去りにしてきた父もまた自殺を計るが失敗する。
死ぬことすらできず、希望のない明日を生きていかなければならない家族が闇に包まれていく。

張誠希チャン・ソンヒ)=作者

1965年生。劇作家、演劇評論家、ソウル芸術大学兼任教授。1996年より劇作家としての活動を開始。1996年、国立劇場の脚本公募創作部門受賞、1997年韓国日報新春文芸戯曲当選で劇作家としてデビュー。
公演発表作:『夢の中の夢』『 柊擬の森の思い出』『アンチ・アンティゴーネ』『水の中の家』『転生区域』『月光の中をゆく』『A.D.2031、第3の日々』『道の上の家族』『この俗世の歌』『パンドラの箱』『メギの思い出』
未公演作品:『影の涙』『友、コムコミ』『星になった大きなクマ』『綿菓子は誰が守る』
戯曲集:『チャン・ソンヒ戯曲集』(99)、『夢の中の夢』(08)

智春=演出

国内外の一流アーティストから、クラウン、パントマイム、サーカス芸、コメディアデラルテなどの幅広い表現方法を学ぶ。イギリス、スイスなどのフェスティバルでBest Prizeを獲得するなど、自身もマルチエンターティナー・CHEEKY! の名で国内外で活躍。演劇界への新たな挑戦として創造した処女作「カンパニーマン」(作・演出・振付)にて、「若手演出家コンクール(2008年)」最優秀賞・観客賞、「八雲国際演劇祭(2010年)」最優秀作品賞・作品賞・最優秀主演女優賞を受賞。シルク・ドゥ・ソレイユ登録アーティスト。


爾  ー王の男』 

作=キム・テウン
翻訳=木村典子
演出=青井陽治

■出演

増沢望
須賀貴匡
北川能功
初風緑
勝見史郎(劇団新派)
永野和宏(新人会)
林田和久
奥山隆(3〇〇)
吉田裕貴(3〇〇)
近松孝丞(円)

■あらすじ

李氏朝鮮時代、燕山に体を張って笑いを捧げる代りに喜楽院のトップに立った宮中芸人コンギルは、義禁部(王の名を受けて重罪人を審問していた機関)で取り締まっていた芸人たちを喜楽院へと連れてくる。そのなかにいたコンギルの相棒チャンセンは、権力に目がくらみ、芸能の本質を忘れてしまったコンギルを叱咤し、宮中を飛び出す。
燕山の愛情がコンギルに注がれると、ノクスは宴会の最中にコンギルを裸にさせ、屈辱を与える。屈辱をどうにか耐えたコンギルは、ノクスの手先ヒョンパンの非道をすっぱ抜く出し物を演じ、彼を宮から排除する。
うらみを抱いたノクスはホン宦官と図り、コンギルの筆跡を真似て燕山とノクスを批判するハングルの誹謗文を作る。この誹謗文に怒った燕山は犯人捜しに血眼になる。
危険を感じたコンギルは、ハングルの文章をすべて焼き払えという命を覆すため宮に出向き、燕山にこの事件を契機にできるだけ早くハングルの使用を認めることを勧める。
これを知ったノクスは、コンギルが書きかけて捨てた手紙を手に燕山を訪ね、誹謗文の筆跡である証拠として、コンギルを捕えさせる。
一方、チャンセンは全羅道で王に反旗を翻そうと準備する人々の手紙を漢陽の不満勢力に渡す過程で誹謗文を見て、コンギルの筆跡と知る。コンギルの身を案じて宮に戻るチャンセンだが、燕山への反逆罪として目をくり抜かれてしまう。そして、チャンセンの処刑の日、コンギルの懇願にもかかわらず、燕山は自らチャンセンを手にかける。
宴の準備に忙しい芸人たち。準備が整い、舞台の幕があがる。コンギルは芸を通して燕山と世の中を風刺しはじめる。青ざめる芸人たち。燕山は刀を手にコンギルへと近づく。その時、反旗を翻し宮に押し寄せる軍隊のざわめきが聞こえてくる。

〈爾〉とは、李氏朝鮮時代に王が臣下を敬い呼んだ呼称であり、劇中では燕山が寵愛するコンギルを呼ぶ呼称。コンギルは賤民芸人の身分でありながら、王から〈爾〉と呼ばれた実在の人物だ

金泰雄キム・テウン)=作者

1965年生まれ。
ソウル大学人文大学哲学科卒業後、韓国芸術総合学校演劇院劇作科に入学し、M.F.A(Master of Fine Arts )課程を卒業。
1997年、演友舞台20周年記念・新鋭作家発掘シリーズ『蝿たちの曲芸』を作・演出、1999年、『月光遊戯』が東亜新春文芸戯曲部門に当選。2000年、『爾』(劇団演友舞台)を作・演出し、東亜演劇賞作品賞、演劇協会選定の今年のベスト5作品賞と戯曲賞、演劇評論家協会選定の今年のベスト3作品賞、ソウル公演芸術祭の戯曲賞などを受賞。この作品は2005年に『王の男』(イ・ジュニク監督)というタイトルで映画化され1230万人を動員する大ヒットとなった。また、同年には『門』(アゴカンパニー)を作・演出。2002年には劇団ウインを旗揚げし『花を手にした男』を公演。このほか、『風船交響曲』(01)、『楽しき人生』(04)『反省』(06)などを作・演出。現在、韓国芸術総合学校演劇院劇作科教授、劇団ウイン代表

青井陽治=演出

69年に研究生として劇団四季に入り、『ウエストサイド物語』『ジーザス・クライスト=スーパースター』などの初演に出演。同時に翻訳・訳詞・劇作のチャンスを与えられる。76年よりフリーとなり、以降、海外戯曲の上演、ミュージカルの創作に独自の世界を築く。近年は、次代のエンターテインメントを担う演劇人育成のために、演劇教育にも積極的に携わっている。主な作品に、『真夜中のパーティ』ニール・サイモンの『BB三部作』『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』『ラヴ・レターズ』『あなたまでの6人』『GODSPELL』『海の上のピアニスト』『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』『エリザベス・レックス』『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』。新派では『あじさゐ』『ふりだした雪』『狐狸狐狸ばなし』を新しい感覚で演出した。


月の家』 

作=ノ・ギョンシク
翻訳=宋美幸
演出=矢内文章

※「月の家」とは、旧暦の正月15日の月見の時に火をつけて明るくするため、
 藁、松の葉、薪を小屋の形に積み上げたものを意味する。

■出演

青山眉子(俳優座)
井上倫宏(演劇集団円)
永井将貴(劇団昴)
宮山知衣(テアトル・エコー)
小暮智美(劇団青年座)
小林利也(劇団仲間)
柴田義之(劇団1980)
佐野美幸(劇団青年座)
二宮聡(ピープルシアター)
山内克也

■あらすじ

第一幕
1951年、小正月(旧暦一月十五日)の二日前。智異山から近い山里の村、市日の夕方。ここでは老婆、ソン・ガンナンが次男坊のチャンボ(長男は日本統治時代に徴用に引っ張られて死亡)と、孫の嫁と子(スンドクと少年)を連れて共に暮らしている。チャンボは数年前にコレラで妻を亡くしてからは一人身である。
ガンナンには二つの願いがあった。一つは軍隊に行った孫のウォンシク(スンドクの夫)が少し腰を痛めてから除隊になり、もうすぐ帰って来るというのを待つこと。もう一つは、何も知らずにパルチザンになったウォンシクの弟、マンシクが無事に家へ戻るのを待つことである。しかし近くに住む村長が、パルチザンのマンシクが昨夜、隣村に現われたという事実をチャンボに知らせる。

第二幕
小正月の夕暮れ。ガンナンが二人の孫の健康を祈っている。だが、チャンボはすでにマンシクの亡骸を確認しており、このことは隠し通そうと心に決めていた。相次いでパルチザンの襲撃が起こり、牛や豚などの家産を奪われた上、チャンボとスンドクは拉致される。
明くる日の夕方。チャンボとスンドクが家に帰って来る。しかしスンドクは辱めを受けていた。ガンナンはこれを受け入れられず、きっぱりと彼女に家を出ることを命ずるが、チャンボはこれを頑なに反対する。ガンナンとチャンボは大喧嘩し、遂にチャンボは堪えきれずに母親の秘密を暴露してしまう。
それは三・一独立運動の時の、ガンナンの侮辱。それから妻の死が実はコレラではなく、服毒自殺であったということ。ガンナンは家のことを考えて、自殺を病死に見せかけていたのである。そしてチャンボは家を飛び出す。

第三幕
約三時間ほど経った後、ウォンシクが除隊して家に帰って来る。そして翌朝、スンドクが木の枝に首を吊って死んでいるのが発見される。しかしガンナンは揺るがない。初春が来れば急がなくてはならない農仕事に精を費やし、その日に限って朝寝坊した曾孫の年端も行かぬ少年をただ闇雲に叱りつけるだけである。

ノ・ギョンシク=作者

1938年、全羅北道南原生まれ。慶煕大学経済学科卒業後、ドラマセンター演劇アカデミー修了。1965年に『渡り鳥』でソウル新聞新春文芸戯曲当選。
韓国演劇協会、韓国文人協会、民族文学作家会の会員及び理事を歴任。
韓国PENクラブ、ITI韓国本部、韓国戯曲作家協会会員。
ソウル演劇祭、全国演劇祭、勤労者文化芸術祭、全国大学演劇祭などの審査委員。
秋溪芸術大学、国民大学文芸創作大学院講師。
他にも南北演劇交流委員長などを歴任し、2003年には“??植演劇祭”を開催した。
主な作品に『月の家』(71)、『懲?録』(75)、『小作地』(79)、『塔』(81)、『太鼓』(82)、『空ほど遠い国』(85)、『踊るミツバチ』(92)、『ソウルへ行く道』(95)、『千年の風』(99)、『燦爛たる悲しみ』(02)他、長短編戯曲など30余編。著書として歴史小説も書いている。
受賞歴は「韓国百想芸術大賞」戯曲賞、「韓国演劇芸術賞」(83)、「ソウル演劇祭大賞」(85)、「東亜演劇賞」作品賞(89)、「大山文学賞」戯曲(99)、「行願文化賞」文学部門(00)、「東朗・柳致眞演劇賞」(03)など多数。

矢内文章=演出

1971年生、39歳。劇団俳優座研究生修了。
役者としてTPTやthe companyなどでR・A・アッカーマン演出作品に出演後、2008年にアトリエ・センターフォワードを結成し、作・演出・出演を担当。
同年12月、旧ユーゴ紛争を題材に敵味方双方の葛藤を描いた作品『その川に流るるは…』を発表。2009年7月、世相が酷似しているという着想から現在と2・26事件を結びつけ、ロシア革命直前にチェーホフが書いた『桜の園』や『三人姉妹』を下敷きにした作品『一条家サロン〜アラブルカゼニクツオトガタカナル〜』を上演した。また、2010年3月に地球の水問題を近未来の火星から描くという意欲作『ブルー・ウォーター〜20XX火星編〜』を発表。
社会が抱える構造的問題と人物の葛藤に正面からぶつかり、厳しい状況下で懸命に生きるからこそ生まれるユーモアを大切に、「硬質でいて軽やか、精緻かつダイナミックな表現」を目指している。